景気が坂道をころげるように悪化しているときに、国会審議は滞る。「政治は国民の暮らしを本気で考えているのか」。そんな声が聞こえてきそうだ。
2次補正には中小企業の金融支援、学校耐震化、高速道路料金引き下げなど、生活・景気対策が盛り込まれている。麻生太郎首相は1次補正、09年度予算と合わせ、景気てこ入れの3段ロケットの2段目と位置付ける。
景気対策の必要性は野党も認める。与野党が話し合い、早期に可決、成立させるのは、できないことではないはずだ。
問題は総額2兆円の定額給付金にある。公明党が初め、定額減税として提唱したものが、姿を変えて補正に盛り込まれた。
生活支援のためか、景気刺激策か。所得制限をするのか、しないのか。閣僚は受け取るのか、辞退するのか−。首相や与党の対応、説明は二転三転してきた。国民の評判も芳しくない。
その給付金にこだわって、麻生首相は予算の早期成立の道を自ら閉ざしてしまった。
野党は対決姿勢を強めている。09年度予算案審議への影響も避けられそうにない。
予算案そのものは、参院に送って30日たてば自然成立する。しかし関連法案は60日が過ぎなければ衆院で再可決できない。予算の執行はずれこむ。